TLG Aerospace の導入事例
2016 年
TLG Aerospace は、ワシントン州シアトルに拠点を置く航空宇宙エンジニアリングサービス企業で、ワールドワイドの航空宇宙産業の顧客に CFD 分析を始めとするサービスを提供しています。TLG Aerospace は、大型機から小型機までさまざまな航空機のエンジニアリングを専門としています。注力しているのは、静荷重と動荷重、フラッター、安定性と制御、航空力学、機体の応力解析や応力設計といった飛翔体の分析や設計です。
Amazon EC2 スポットインスタンスを使い始めるとすぐに CFD シミュレーション 1 回あたりのコストが 75% 削減できました。このようにして削減できた分をお客様に還元して、当社の競争力を高めることができています」
Andrew McComas 氏
TLG Aerospace エンジニアリングマネージャー
課題
多くの航空宇宙エンジニアリング企業と同様に、TLG も業界有数のアプリケーションである STAR-CCM+ を使用して CFD シミュレーションを実行しています。TLG が当該アプリケーションを使用する用途は、航空機の空気力学シミュレーションの実行と、機体周辺の圧力や温度の予測です。しかし、TLG ではシミュレーション実行に伴うコストの削減が課題でした。「これまではあるクラウドプロバイダーをシミュレーションのホストに利用していましたが、シミュレーションあたりのコストが高額でした」と、TLG Aerospace のエンジニアリングマネージャー、Andrew McComas 氏は言います。「通常のシミュレーションの実行にはケースあたり数百ドルかかり、プロジェクトによってはシミュレーションケースが数百にのぼることもありました」
また、より大型シミュレーション案件を受注するために、ハイパフォーマンスコンピューティング (HPC) アプリケーションをスケーリングできる環境整備も課題でした。「コンピューティングリソースが大量に必要な複雑性の高いシミュレーションの実行がこの業界のトレンドです」と McComas 氏は言います。「しかし、これまで使用していた社内の HPC クラスターでは、解析可能な問題の規模に上限が課されていました。ノードは少数で、大規模な問題の解析に十分なメモリがありませんでした」
TLG はコスト削減とスケーラビリティの実現を求めて、新たなクラウドプロバイダー候補の調査を開始したのです。
アマゾン ウェブ サービスが選ばれた理由
TLG が CFD シミュレーション実行の利用先に最終的に選定したのは、アマゾン ウェブ サービス (AWS) でした。「かねてより AWS のことはよく知っており、そのテクノロジーがコスト削減とスケーラビリティ拡大という具体的なニーズに対応できると考えたのです」と McComas 氏は述べます。
TLG は、未使用の Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) コンピューティング容量を割引価格で使用できる Amazon EC2 スポットインスタンスを活用しています。「劇的なコスト削減を模索していましたが、それが達成できたのは、EC2 スポットインスタンスのおかげです」と McComas 氏は言います。「ビジネスの観点から言えば、ケースあたりの単価がすべてです。このテクノロジーによってシミュレーションコストが大幅に削減されました」
TLG は Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) バケットを使用して、数テラバイト規模のシミュレーションデータをクラウドに保存しています。また、Amazon EC2 インスタンスと組み合わせて使用できる、永続的なブロックレベルストレージボリュームを提供する Amazon Elastic Block Store (Amazon EBS) も活用しています。TLG は Amazon EBS ボリュームを HPC クラスターのヘッドノードに使用しています。さらに、TLG は Amazon CloudWatch モニタリングサービスを使用して、オンラインの AWS コンソールで CFD シミュレーションの進行状況を追跡しています。「CloudWatch メトリクスを作成して、AWS からシミュレーションのステータスを直接モニタリングできるようにしました」と McComas 氏は言います。「この結果、すべてのコンピュータからシミュレーションをモニタリングできることになり、CFD コード独自の GUI を使用する必要もなくなりました」
利点
Amazon EC2 スポットインスタンスの使用により、TLG は CFD シミュレーションのコストを大幅に削減しています。「Amazon EC2 スポットインスタンスを使い始めると、CFD シミュレーション 1 回あたりのコストが 75% 削減できることがすぐにわかりました」と McComas 氏は言います。「このようにして削減できた分をお客様に還元して、当社の競争力を高めることができています。当社が取り扱う種類の分析はコモディティ化が著しく、新規参入企業が増加の傾向にあります。そのため、最低レベルの価格でサービスを提供する競争も激化しています。当社はシミュレーションコストを削減した結果、競争力をさらに高められるはずです」
TLG は、シミュレーションデータを Amazon CloudWatch に送信してオンラインで確認することで、さらなるコスト削減を実現しています。「Amazon CloudWatch を使用すると、自宅でも出先でも、コンソールにログインするだけで全シミュレーションのステータスを確認できます」と McComas 氏は言います。「ジョブの能動的なモニタリングによって問題の早期発見とリワークの削減が可能になり、目に見えてコストが減少しています。加えて、モニタリングしない場合に実行時間が必要以上に延びるおそれのあるような大規模なジョブでも、不要コストの削減が可能になります」
また、TLG は STAR-CCM+ を 1,000 個超のコアにまでスケーリング可能になり、案件規模の大小に関係なく CFD プロジェクトを対象にして商機を得られるようになりました。TLG では AWS でケースあたり 60 超の EC2 スポットインスタンスを使用して STAR-CCM+ を実行しています。「これまではスケーリングできる範囲が非常に制限されていたため、1,000 を超えるノードが必要なジョブはサポートできませんでした」と McComas 氏は言います。「ほとんどの場合 1,000 ノードあれば十分とはいえ、制限があることには違いありません。AWS を使用することで、STAR-CCM+ ジョブのスケーリングにおける制限から解放されました。必要でなればさらなる規模拡大も可能です。超大型の数値流体力学プロジェクトに対応可能な環境も整える予定です。私たちにとってそのことは重要です。なぜなら、それがこの業界全体が向かう方向性だからです」
TLG は簡単にスケーリング可能になった結果、将来の大型プロジェクトの受注を視野に入れています。「より広範な作業範囲を伴うプロジェクトに入札できるようになりました。なぜなら、当社はより大規模なメッシュをより高速解析できるからです」と McComas 氏は述べます。「そのことが、AWS のスケーラビリティと低コストがもたらすメリットを如実に表しています。セーブした資金で、さらなるサービス拡大が可能になったのです」
TLG Aerospace について
TLG Aerospace は、ワシントン州シアトルに拠点を置く航空宇宙エンジニアリングサービス企業で、ワールドワイドの航空宇宙産業の顧客に CFD 分析を始めとするサービスを提供しています。
使用されている AWS のサービス
Amazon S3
Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) は、業界をリードするスケーラビリティ、データ可用性、セキュリティ、およびパフォーマンスを提供するオブジェクトストレージサービスです。
Amazon EC2 スポットインスタンス
Amazon EC2 スポットインスタンスを使うと、AWS クラウド内の使用されていない EC2 キャパシティーを活用できます。
Amazon EC2
Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) は、安全でサイズ変更可能なコンピューティング性能をクラウド内で提供するウェブサービスです。
Amazon EBS
Amazon Elastic Block Store (EBS) は、Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) と共に使用するために設計された、使いやすい高性能なブロックストレージサービスです。
開始方法
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